「階段を下りるときだけ、膝が痛い…」それ、よくあるお悩みです
「上りは平気なのに、下りがつらい」
「段を降りるたびに、ズキッと膝が痛む」
こうした声は、中高年の方だけでなく、20〜30代にも意外と多いのです。
そして実は、この“階段下りの膝痛”の原因のひとつとして、
太もも裏の筋肉「ハムストリングス」の硬さが注目されています。
膝が悪いからと諦めている人も、
実は「柔軟性の見直し」でラクになるかもしれません。
「階段の下り」がヒザにかかる負担とは?
階段の上りと下り、どちらが膝に負担がかかると思いますか?
実は答えは**「下り」**。
なぜなら、階段を下りるときには…
- 体重+重力を支える負荷
- “ゆっくり下りる”ためのブレーキ動作
- 瞬間的に体重が片脚にかかる時間が長い
など、膝にかかる圧力が2〜4倍に増えると言われているからです。
特に、片脚で着地するときに「ドスン」と衝撃がきてしまうと、
関節の中の軟骨や半月板にジワジワとダメージが蓄積されます。
この“衝撃を吸収する役目”を果たしてくれているのが、
太もも裏の「ハムストリングス」やお尻の筋肉なのです。
太もも裏(ハムストリングス)が硬いとどうなる?
ハムストリングスが硬くなると、体にはこんな影響が出ます👇
状態 | 影響 |
---|---|
膝がうまく曲がらない | スムーズに足が出ず、着地で衝撃が増える |
骨盤が後ろに傾く | 太ももの前側(大腿四頭筋)ばかり使うように |
歩幅が小さくなる | 衝撃を吸収しにくくなり、膝にダイレクト負荷 |
とくに問題になるのが、膝が軽く曲がった状態で耐える動作。
階段下りでは常にこの姿勢になりますが、
ハムストリングスが硬いと膝をしっかりコントロールできず、
「ガクッ」と力が抜けるような怖さや痛みにつながります。
あなたの太もも裏、硬くないですか?【簡単チェック法】
誰でもできる、太もも裏の柔軟性チェックをご紹介👇
✅ 仰向けで脚を上げるテスト
- 仰向けに寝て、片脚をまっすぐ上に持ち上げる
- 膝は曲げずにまっすぐ
- 脚の角度が90度(垂直)以上上がれば合格!
→ 膝が曲がる/脚が上がらない場合は、ハムストリングスが硬いサインです。
🧘♀️ 今すぐできる!太もも裏ストレッチ3選
① タオルを使ったハムストリングスストレッチ(仰向け)
- 仰向けで寝る
- タオルを足裏にかけて、脚を上げながら両手でタオルを引く
- 膝を伸ばしたまま、30秒キープ×左右
👉 寝ながらできて、膝への負担も少なめ!
② 前屈ストレッチ(座位)
- 床に座り、脚をまっすぐ前に伸ばす
- 背中を丸めず、股関節から前に倒すように前屈
- 足先に手が届かなくてもOK、30秒×2セット程度
👉 呼吸を止めず、リラックスして行うのがコツ。
③ 立位での太もも裏ストレッチ
- 片脚を前に出し、つま先を上げてかかとを床につける
- 後ろ脚に体重をかけて、お尻を引くように前に倒す
- 太もも裏が伸びていればOK!
👉 通勤途中やエレベーター待ちでもサッとできる“ながらストレッチ”!
😖 ストレッチしても痛みが続くときは?
ハムストリングスの柔軟性アップでラクになる人も多いですが、
すでに関節内に炎症や変性がある場合は、無理に動かすと逆効果になることも。
痛みが強く出るときは、理学療法士などの専門家へ相談してくださいね。
💡理学療法士からの豆知識
膝の痛みを訴える人の多くが「太もも前側の筋肉の使いすぎ」で、
裏側がうまく使えていない傾向があります。
ストレッチだけでなく、軽いヒップリフトなどで裏側を“目覚めさせる”ことも大切です!
🧾 まとめ
- 階段下りの膝痛は「膝そのもの」だけが原因とは限らない
- 太もも裏(ハムストリングス)が硬いと、着地でのブレーキが効かなくなる
- 柔軟性チェックとストレッチで、膝への負担を軽減できる!
🌿 ときどき、リハを始めてみませんか?
参考文献
- 木村裕明ほか:膝関節痛と下肢筋力の関係.理学療法学 1998; 25(5): 341–345.
- 吉尾雅春:膝関節と筋バランスから考える階段動作の負担.臨床スポーツ医学 2011; 28(4): 385–390.
- Lewek M, et al. Biomechanical factors associated with knee pain during stair descent. J Orthop Sports Phys Ther. 2002; 32(10): 448–457.
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