体の不調は“足元”から始まってる
「なんとなくこのサイズで履いてるけど…」「歩きにくいけど、まぁ履けるし大丈夫かな」
そう思いながら、毎日その靴を履いていませんか?
実は、靴のサイズやフィット感が合っていないことが、腰痛・肩こり・頭痛・むくみ・冷え性など、さまざまな不調の“はじまり”になっている可能性があるんです。
今回は、理学療法士の視点から「合ってない靴が体に与える影響」や、「今日からできるセルフチェック方法」「靴選びのコツ」などをご紹介します。
靴のサイズ、なんとなくで選んでませんか?
「23.5cmがいつものサイズだから」「通販で“いつものやつ”をポチ」
そんなふうに、“感覚”で靴を選んでいませんか?
実は日本人の約7割が、サイズの合っていない靴を履いているというデータもあります【※1】。
特に女性は「見た目重視」「可愛いから我慢して履く」「パンプスは合わなくて当たり前」など、足に無理をさせている人が少なくありません。
でも、考えてみてください。
私たちは、毎日何千歩、何万歩も“その靴”で歩いているんです。
それだけ体に影響が出るのは当然ですよね。
合わない靴が引き起こす“体の不調”とは?
では、どんな不調が起こるのでしょうか?
以下のようなトラブル、心当たりありませんか?
🟥 足まわりのトラブル
- 小さすぎる靴 → 指が圧迫 → 外反母趾・内反小趾・巻き爪・タコ・魚の目
- 大きすぎる靴 → 前滑り → 爪が黒くなる・指が浮く・かかとが靴ずれ
- アーチが合わない靴 → 土踏まずの痛み・足底筋膜炎・扁平足
🟨 膝・腰・肩の不調
- 靴がズレる → 無意識に足首や膝を固定しようとする
- 股関節や骨盤がゆがみ、腰や肩に負担がかかる
- 長期的に見ると姿勢や歩き方が崩れ、慢性痛の原因に
🟦 血流・自律神経への影響
- 締め付けすぎ → 足のむくみ、冷え、しびれ
- 重心の偏り → 自律神経が乱れ、頭痛や不眠の原因にも
「足だけの問題」で終わらないのが、靴の恐ろしさ。
たかが靴、されど靴。足元のズレが、全身のゆがみを引き起こすのです。
あなたの靴、合ってる?セルフチェック7項目
では、今履いている靴は本当に合っているのでしょうか?
簡単なチェックリストをご紹介します。
✅ 靴サイズ・フィット感のセルフチェック
- つま先に1cm程度の余裕がある
- 指先がギリギリ当たるのはNG。歩行時に前後に足が動く分の余裕が必要です。
- かかとがカパカパ浮かない
- 大きすぎる靴はかかとが浮いて擦れ、靴ずれの原因に。
- 足の幅(ワイズ)が合っている
- 足の外側(小指側)が当たっていたら横幅が狭すぎ。
- 歩くときに足が前にずれない
- パカパカしたり、靴の中で足が滑る感覚はNG。
- 土踏まずがしっかりフィットしている
- 中敷きとアーチの形が合っていないと足の疲労につながります。
- 靴ひもを締めると足が安定する
- ゆるく履いていると足が不安定になり、捻挫のリスクも。
- 履いてすぐに「痛い・違和感がある」と思わない
- 最初に感じた違和感は、大抵そのまま続きます。
ひとつでも当てはまるものがあれば、今の靴が「合っていない」可能性があります。
理学療法士が教える「靴選び」のコツ
靴屋さんで選ぶとき、「デザイン」や「ブランド」ばかりに目が行っていませんか?
足に合った靴を選ぶためのポイントをお伝えします。
👣 1. 試着は“夕方以降”がベスト
一日のうちで一番足がむくんでいる時間に試すことで、「1日中快適に履ける靴か」がわかります。
👟 2. 両足でしっかり歩いて試す
片足だけではダメ!左右差のある人も多いため、必ず両足履いて歩くのが鉄則。
🧦 3. 靴下やインソール込みでチェック
実際に履く靴下と一緒に試着し、中敷き(インソール)込みでフィット感を確認しましょう。
🛠️ 4. 中敷き調整・シューフィッターを活用
フィッティング専門スタッフがいる店なら、靴の調整や提案を受けるのも◎
🛒 5. ネット購入なら返品・交換OKのものを
一度は家の中で“慣らし履き”して、痛みや違和感がないか確認を。
足元が変わると、体が変わる。
靴は「ファッションアイテム」である前に、体を支える“健康器具”です。
わたしたち理学療法士は、歩き方や姿勢に悩む方を多く見ていますが、その原因が「靴」だったというケースは少なくありません。
姿勢や歩行が整うことで、肩こりが改善したり、腰痛が軽くなったり。
疲れにくくなったり、ヒールでも快適に歩けるようになったり。
そんな“変化”の第一歩が、「靴を見直すこと」かもしれません。
おわりに|「合う靴」は、あなたの体を守ってくれる
「靴って、そんなに大事だったんだ…」
そう思ってもらえたなら、今日の記事はきっと意味があるはずです。
“履けるからOK”ではなく、“体に合ってるからOK”な靴を選ぶこと。
それが、将来の自分の体を守ることにもつながります。
「なんか最近、体がだるい」
そんなときは、まず足元を見直してみましょう。
✅ 参考文献
- 【※1】日本整形靴技術協会(J.S.A.T.O.):https://jsato.com
- フットケア学会:靴と足病の関係に関する調査結果(https://jsfc.jp)
- 理学療法士協会:「歩行と靴の健康」特集号(https://www.japanpt.or.jp)
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