「朝ごはん、いつも何を食べていますか?」
パン派? ごはん派?
この話題、日常のなかでよく出てきますよね。
私は理学療法士として、患者さんやデスクワーク中心の方々と関わる中で、
「朝からなんか疲れてるんです」「午後はいつも眠くなるんですよね」といった声をよく耳にします。
そして話をよく聞いてみると、朝ごはんが“パンだけ”になっている人がとても多いんです。
今回は、“朝食の主食”の選び方が、日中の疲れや集中力にどう関わってくるのか?
科学的な視点も交えながら、わかりやすく解説していきます。
◆ パンとごはん、どちらも炭水化物。でもエネルギーの質が違う
まず知っておきたいのが、パンとごはんは同じ「炭水化物」でも、体への働き方が違うという点です。
パンに使われる小麦粉(特に精製された白いパン)は、消化吸収が早く、血糖値が急上昇しやすいという特徴があります。
つまり、「すぐにエネルギーになるけれど、すぐ切れてしまう」んですね。
一方、ごはん(特に白米〜雑穀米)は、ゆっくり消化・吸収される複合炭水化物が中心。
血糖値の上がり方が穏やかで、エネルギーが長く持続しやすいというメリットがあります。
ある研究では、「朝に白米を食べたグループの方が、パンを食べたグループよりも、午前中の疲労感が少なかった」という結果も報告されています(農研機構, 2021)。
◆ 眠気・疲れ・集中力低下の正体は「血糖値のジェットコースター」?
血糖値が急に上がると、身体はそれを下げようとインスリンというホルモンを分泌します。
しかし急激な上昇には、急激な下降がセット。これがいわゆる血糖値のジェットコースター現象。
この現象が起こると、
- 急な眠気
- 倦怠感
- イライラ
- 甘いものへの欲求
などが出やすくなるんです。
「朝パンだけ」「菓子パン+コーヒー」といった組み合わせは、まさにこれが起こりやすい典型パターン。
朝の満足感は高くても、午前10時〜11時ごろに「ボーッとする」「お腹が空いて集中できない」と感じたことがある人は要注意かもしれません。

◆ ごはん派は「副菜」がつきやすい
もうひとつ見落としがちなポイントが、**主食の周りに何がついてくるか?**という点。
パンの場合、トーストだけで済ませたり、菓子パン1つだけで終わってしまうケースがよくあります。
一方で、ごはんだと「みそ汁」「納豆」「卵焼き」「野菜のおひたし」など、自然と副菜がつきやすい傾向があります。
この“副菜”たちは、たんぱく質やビタミン、ミネラルといった体や脳のエネルギー代謝をサポートする栄養素の宝庫。
特に、鉄やビタミンB群が不足すると「疲れやすさ」が増すというデータもあります(日本人の食事摂取基準2020年版)。
つまり、ごはん中心の朝ごはんは、「主食のエネルギーの質」だけでなく「栄養バランスの良さ」にもつながりやすいんです。
◆ パンが悪いわけじゃない。でも「選び方」は大事
ここまで読むと、「じゃあパンはダメなの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
パンにも良いところはたくさんあります。
- 手軽で時短になる
- 食欲がない朝でも食べやすい
- バリエーション豊富(全粒粉パン、ライ麦パンなど)
ただし、「何と一緒に食べるか」がとても大切。
たとえば、
- 全粒粉パン+ゆで卵+野菜スープ
- ライ麦パン+チーズ+ナッツ入りヨーグルト
のように、血糖値を急上昇させない工夫とたんぱく質や脂質を取り入れることで、
パンでもエネルギーが持続しやすく、疲れにくい朝食になります。
◆ たかが朝食、されど朝食。選び方で午後のパフォーマンスが変わる
朝ごはんは、1日のスタートをつくる大事なスイッチです。
パンもごはんも、どちらも「選び方」や「組み合わせ」で、体への影響が変わります。
午後の眠気が気になる人
朝からやたら疲れてると感じる人
集中力が続かないという人
そんなときは、まず**“朝ごはん”の内容を見直してみる**のも一つの手です。
「なんとなくパン」「気づいたら菓子パン」の朝から、
ごはん+具だくさんみそ汁に切り替えるだけで、
「なんか今日、疲れにくいかも?」が実感できるかもしれません。
◆ まとめ:今朝、なに食べた?
毎日ごはんじゃなくても、もちろんOK。
でも、**“朝の選択が、午後の自分をつくっている”**と知っておくだけで、日々の選択が変わっていきます。
さあ、明日の朝はどっちにしますか?
「パン派」でも「ごはん派」でも、疲れにくい体とココロを目指して、ちょっとだけ選び方を意識してみましょう。
🔖参考文献
- 農研機構. (2021). 朝食の種類が児童の集中力と体調に与える影響.
- 厚生労働省. (2020). 日本人の食事摂取基準.
- 佐藤ら. (2019). 血糖値変動と集中力の関係に関する研究. 日本栄養学雑誌.
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