「最近、なんか歩き方が変だね」
そんなふうに言われたことはありませんか?
実はそれ、“バランス感覚”の低下だけじゃなくて、お尻の筋肉が衰えているサインかもしれません。
特に40代以降、「お尻の筋力の低下=見た目年齢の上昇」につながることもあるんです。
お尻が衰えると、歩き方がグラグラする?
人は歩くとき、常に片足で立っている時間があります。
そのとき骨盤を安定させているのが、お尻の横にある「中殿筋(ちゅうでんきん)」という筋肉です。
この筋肉が弱くなると、片足で支える力が不安定になり、体が左右に揺れやすくなるんです。
実際の診療でも、お尻の筋肉が落ちている方は、片足立ちでふらつきやすく、歩行中の横揺れ(動揺)が目立ちます。見た目としても、“軸がブレている”印象を与えやすく、「なんだか足取りが不安定」「急に年齢を感じる」と周囲に思わせてしまうことも。
中殿筋が弱ると…
- 歩くときに上半身が左右にグラグラ揺れる
- 靴の外側ばかりすり減る
- 片足立ちが不安定、すぐにフラつく
- お尻がぺたんこで、ズボンがずり落ちやすい
- よくつまずく、足が重い感じがする
- 長時間立っていられない、足がすぐ疲れる
- 階段や坂道で後ろに倒れそうになる
これらは、筋力だけでなく「感覚」「姿勢の反応性」「体幹との連動」といった複合的な機能の低下を意味します。 見た目だけでなく、転倒リスクの上昇や腰・膝の痛みにもつながるため、早めの対策が必要です。
いますぐできる!セルフチェック法
【片足立ちテスト】
・靴を脱いで、両手を腰に当てて片足立ち
・目を開けて、できるだけ長くバランスをキープ
・30秒以上保てればOK、10秒未満だと要注意!
※骨盤が傾いたり、反対の足がすぐ床につく場合は中殿筋の筋力不足が疑われます。
ワンポイント❕:中殿筋が弱いと、反対の骨盤が「ストン」と下がります。 自分の姿を鏡やスマホ動画でチェックしてみると、より気づきやすいです。
若々しい歩き方を取り戻す!おすすめエクササイズ
● サイドレッグレイズ(寝ながら)
横向きに寝て、上の脚をまっすぐ上げ下げ。中殿筋にじんわり効きます。
ポイントは「つま先を少し下に向ける」こと。股関節の前側ではなく、お尻の横が効いているかを意識しましょう。
● 立位クラムシェル(立ったまま)
少し膝を曲げて立ち、お尻を意識しながら片脚を外側へ開く。日常動作にもつながるトレーニング。壁や椅子を使って、骨盤の安定を意識しながら行うとより効果的です。
● バンドウォーク(ゴムバンド使用)
足にバンドを巻いて横歩き。中殿筋に直接効く中級者向け。
ポイントはできるだけ重心をぶらさずに、ゆっくり丁寧に歩くことです。
どれも1日5分でOK。ながらでできるものも多く、続けやすいのがポイントです。
おわりに
姿勢が良くても、バランス感覚が良くても、お尻の筋肉が弱っていたら歩き方は老けて見えることがあります。
見た目年齢も、機能年齢も支えてくれている“中殿筋”。
まずは今日から片足立ちチェック。そして、ちょこっとお尻トレーニングを日常に取り入れてみてください。
軽やかな歩き方は、それだけで若返りの第一歩です。
参考文献
- 大場俊一, 井上智雄. 中殿筋の筋力と歩行安定性との関係. 理学療法学. 2012;39(5):331–336.
- 中西隆志, 小西利文. 高齢者の片脚立位バランス能力と中殿筋筋力との関係. 日本老年医学会雑誌. 2014;51(1):76–81.
- Selkowitz DM, Beneck GJ, Powers CM. Which exercises target the gluteal muscles while minimizing activation of the tensor fascia lata? Electromyographic assessment using fine-wire electrodes. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(2):54–64.
- Distefano LJ, Blackburn JT, Marshall SW, Padua DA. Gluteal muscle activation during common therapeutic exercises. J Orthop Sports Phys Ther. 2009;39(7):532–540.
- 日本理学療法士協会. 「理学療法ハンドブック2023」. 東京: 医学書院, 2023年.
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